2014(平成26)年1月17日(金)『靴』
かつて中国の一部には「纏足(てんそく)という習慣があった。
当時当地では、足の小さい女性が美しいと考えられ、幼児期から足の親指以外の指を足の裏側へ折り曲げ(当然骨折を伴う)、布で強く縛ることで足の整形を施した。
親は娘の将来のために良かれと思ってやったことである。
それになぞらえて「こころの纏足」ということを私はあちこちで言って来た。
また、中国の古典『淮南子(わいなんじ)』には
「足を削(けず)って履(くつ)に適す。」
という一文もある。
“足を削る”とはまた強烈な表現だ。
これらの表現が激し過ぎるなら、もうちょっとマイルドに「サイズの合わない靴」と言っても良い。
小さな頃に合わない靴を無理矢理はかされて、
本当はマメができて、血が出て、痛いんだけど、
それでもはき続けてきた靴だから、
それに今さら脱いで裸足(はだし)になるのは恐いから、
ずっと無理してはき続けている人たちは、実はこの世に満ち満ちているのだ。
でもやっぱり痛いよね。
足が先か、靴が先か。
あなたが先か、今いる環境への屈従が先か。
答えは自(おの)ずと明らかだ。
今年こそ、靴脱ぎの春を迎えないか。
あなたが本気で脱ぐ気なら、私は喜んで手伝おう。