今日は令和6年度3回目の「八雲勉強会」。
近藤章久先生による「ホーナイ派の精神分析」の勉強も1回目2回目に続いて3回目。
今回も、以下に参加者と一緒に取り組んだ部分を挙げるので、関心のある方は共に学んでいただきたいと思う。
入門的、かつ、系統的に学んでみるチャンスになる。
(以下、表記に多少古いものも含まれるが敢えてそのままに掲載した。また斜字は私の加筆である)

 

A.Horney(ホーナイ)学派の精神分析

2.神経症の生成と発展

b.不安防衛のための態度 ー 神経症的傾向の萌芽

この様な環境にあり、この様な不安に脅(おびや)かされながら、しかし幼児は生きなければならない。人間に存在する成長への衝動が彼を動かすのである。しかし、幼児らしい自然な感情で自分を取り巻く人間に対して反応することは、この様な不安な状態では可能でない。
この様な状況に適応し、生きて行く為に、少なくともこの不安をかきたてたり、増加したりしない様に、いやむしろ、それを何とかして感じない様にする為の方法を見つけなくてはならない。自ら幼児は幼児として無意識な必要から、その素質や環境の特異性に従って、特有な態度を取って行くわけである。一般的に言えば、自分の周りの強力な人間にくっついて行こうとしたり、反抗して闘ったり、自分の中へ引き籠って、他の人間によって自分の心が乱されないようにすると言う風なやり方をとるわけである。
普通の場合では、この様な態度 ー(1)人に従って行く動き、(2)人に反対して行く動き、(3)人から離れて行く動き ー は、それぞれ補足し合って人間関係を充実させて行く態度なのであるけれども、不安におびえている幼児が、これらの態度を取る場合に極端になり、固くなって行くのである。そして、その態度も彼の不安の程度に比例するのである。
これらの態度は必ずしも一方向に限られるものでないから、互に矛盾し合うこともある。しかし、結局、どれか一つの態度が優勢となって来る。そして、それをもととして、他の傾向を抑圧し、敏感になり、色々な要求をする様になる。かくて、そういう傾向をもととした personality の発展が現れて来る。
勿論、幼児期に於けるこうした傾向は、まだ強固に定着しているわけではないから、友人とか、教師とかを通じて、何等かの意味で暖かい良好な人間関係に入って行くと、変化する場合も多いのである。

 

幼児には生育環境を選ぶことはできない。「しかし幼児は生きなければならない」 このフレーズが悲しくも胸に響く。そして神経症的性格の3つのタイプについては後に詳しく触れる。少なくともここでは、基礎的不安(基本的不安)を払拭するために、幼児が神経症的傾向を身に着けなければならないことを知っておいていただきたい。そして「暖かい良好な人間関係」が与えられれば、そのような神経症的傾向を振り払うことは、子どもだけでなく、大人でも十分に可能なのである(子どもの方が早いけどね)。そこに人間というものへの希望がある。

 

 

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