「子どもっていうものはね、母親と父親のですね、こころの中をね、鏡のように反映してるんですよ。これはね、うっかり、あなた方ね、子どもだからと思ってね、甘く見ると大変なことになるってことを一度申し上げておきたい。…
例えば、女の人は…男の人の気持ちというものをしょっちゅう、こういう具合にして、レーダーをやってですね、どんな気持ちであるか、主人は私のことをどう思ってるか、というようなことをですね、見てるんですよ。これは、正直言って、僕はいろいろ知ってるから、そう言うんでね。皆さん、そうじゃないなんて言わせません(笑)。それはそういうふうな、いつもデリケートな、『あの人、今日はどこへ行っちゃった?』なんていうんで、『どこへ行っちゃったんでしょ。』なんてね、レーダー、すごいんですよ。これね、それぐらいにね、自分が愛されたい。愛情の対象ってものに対しては、非常に人間っていうものはん、自分のレーダーを張るもんです。
同じようにね、子どもってのはそういうもんです。もうお母さんのちょっとした言い方でもね、お母さんの心がどこにあるか、すぐわかるんです、ね。この前も、子どもがね、何かな、プラモデルかなんか買ってくれないっていうんでね、死んじゃったっていうでしょ。あれだけ見たら、お母さんは、『私、なんだかわかりません。』とね。『いつでも買ってやると言ってたのに。』なんて。『どうしてかわかりません。』あれはね、あれだけ、新聞記事では読めませんよね。…相当お母さんに、僕は問題があったと思うんです。お母さんがきっとどこかね…自分の子どもに対してね、本当の意味のね、愛情をね、注いでいなかったと、注意していなかったということが僕はあると思うんです。人間、私は、そういう隙(すき)があるもんですよ、ね。
うっかりしているうちに、ホントに、例えば、旦那さんが、あなた、女性関係があってですね、そんなことばかり考えてたら、心が、あなた、子どもに行きませんよね。いいですか。なんかあっても、『ああ、お金あげるから買ってらっしゃい。』それでよそのことを考えてる。これはね、いかにも『私はお金をやったから。』とやるようなもんだけど、そうはいかないんですよ。子どもっていうのは非常に、そこ、敏感なんですよ。子どもは、だから、これはペアレンツばかりではない、ティーチャーズにもそうなんです。子どもはね、あの先生がね、どんなふうに自分を思っているかっていうことに、やっぱりレーダーかけてるんです。こうやって、ね。だから、そのね、先生が依怙贔屓(えこひいき)するかしないかってことに非常に鋭敏です。
ですから、子どもっていうものはね、その代わりですよ、逆に、愛情をかけてやれば、非常に、その、スッとわかるんです。もうひと言でそれを感じてしまって安心するんですね。そういうものなんです。」(近藤章久講演『子どもの自殺と非行に走る心理』より)

 

小さくて弱い子どもは、愛情の対象である親に対して、それから、関心の対象である先生に対して、一所懸命にレーダーを張っています。
親には愛されたいし、先生からは認められたいもの。
だから、親や先生の(表面的言動ではなく)本音を非常に敏感に観抜いて来ます。
そしてその影響の大きさを侮(あなど)ってはいけません。
その子のそれからの一生を左右し、生き死ににさえ関わることもあるんです。
ですから、愛しましょう、認めましょう、その子がその子であることを。
(ここについては小欄『子ほめ』も参照)
その子が、間違いなく、その子の人生を生きることができるようになるために。

 

 

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