就職活動をしている青年から、進路選択について訊かれた。

仕事ということについて核となるところは既に『仕事観』に書いたので、今回は少し切り口を変えて彼に話してみた。

まず「収入のために働く」という観点からの選択がある。
それならば、働く時間はできるだけ短く、あるいは楽で、給料はできるだけ多いところを探せば良い。
最近は、「最低限食べて行ければ良いです。」「できるだけ働きたくないです。」という人たちも増えていると聞く。
あなたの人生だ。
あなたがそれで良ければ、
自己責任において、その観点で探せば良いと思う。

二番目に「やりたいことをやるために働く」という観点からの選択がある。
日本も欧米並みに個人主義的となり、「なりたい自分になる」「生きたい人生を生きる」という自我中心的な生き方が市民権を得て来たように思う。
それはそれで、自分以外の誰かに隷属したり、他者評価に支配されたままで生きるよりは結構である。
自分が本当は何がしたいのか、を見つめてみれば良いと思う。
ただ現実には、やりたい求人がないときもある。
また、あっても採用されない場合もある。
一旦勤めてみたが違っていた、ということもある。
あなたが本当にやりたい仕事を求めるならば、自己責任において、これがやりたかったんだ、と感じるまで探し続ければ良いと思う。

そして三番目に、「自分の生れて来た意味と役割、ミッションは何か」という観点からの選択がある。
「自分がやりたいこと」と「ミッション」とは必ずしも一致しない。
そこが二番目の観点との決定的な違いである。
例えば、サイコセラピストになることがミッションの人がいる。サイコセラピストになることがミッションでない人もいる、どんなに本人がなりたくても。しかしその人には国際公務員や実業家やパティシエになるミッションがあるかもしれない。
そもそも最初から自分の「ミッション」がわかっている人はほとんどいない。
働いてみながら、そして「本来の自分とはなんぞや」「自分のミッションはどこにあるのか」を求め続けながら、試行錯誤して行くことになる。
これは多数派の人が歩む人生とは違う人生になるかもしれない。
それでも、あなたがミッションに生きることを求めるならば、自己責任において、自分に与えられたミッションを見い出すまで求め続ければ良いと思う。

そう答えて、あとは二十歳を過ぎた彼にまかせることにした。

 

 

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