ヒューマンエラー、人的ミスは絶対になくならないと言われている。
何故ならば、人間存在そのものがミスをするように作られているからである。
だからといって、ミスをしていい、ということにはならず、できる対策は打たなければならないが、いつも申し上げる通り、人間が元々、ポンコツでアンポンタンであるという自覚は持っておいた方が良いと思う。
その方が、人間が謙虚になる。
で、古人も、常に起こり得るミスについては、繰り返し警告を発して来た。
「猿も木から落ちる」
おっしゃる通り。
「河童の川流れ」
泳ぎが巧みなはずの河童でさえ川の流れに流されることがあるのである。
「天狗の飛び損ない」
特に得意になっていることでは油断しやすいかもしれない。
「弘法も筆の誤り」
日本三筆の一人、弘法大師・空海さんでも書き損じることがあるのだ。
英語もある。
“Even Homer sometimes nods.”
あの偉大なギリシャ詩人ホメロスでさえ詩を書きながら居眠りをすることがあった。
「釈迦の経の読み違い」
偉い人のミスほど、ああ、あの方でもか、と聞いてちょっとホッとするところがある。
以上は、辞書でも有名どころであるが、先日、古今亭志ん生の落語を聴いていたら、「河童の川流れ」に続いて、次のひとことが出て来た。
「ムカデもころぶ」
流石、志ん生である。
皆さん、自分のポンコツぶりに自覚を持って、謙虚に、支え合って、助け合って、生きて行きましょうね。