小学生からスポーツひと筋。
朝から晩まで、なんだったら夢の中まで、どうやったらうまくなれるかだけを考えて練習して来た。
ボーイフレンドもなし、服装はいつもTシャツかジャージ、もちろん化粧もなし、勉強は進級に必要なだけ。
進学はいつもスポーツ推薦。
部の寮住まいで、すべて練習、練習、練習。
遠征はすべて親がバックアップ。
そして彼女のひとつの集大成が高校のインターハイだった。
目指すはもちろん日本一。
それだけのために他のすべてを捨てて、練習して来た。
しかし健闘空しく、無念の敗退。
前説明が長くなった。
そして流した涙を見た。
両方の眼(まなこ)から大粒の涙がぽろぽろぽろぽろと溢れた。
これほど綺麗な涙を見たことがなかった。
胸を掴まれるほど感動した。
小さな子どもたちの涙も綺麗だが、こんなに苦労はしていない。
勝利や達成の涙も綺麗だが、敗北や失意の涙の方が美しい。
なんでだろうね。
死ぬほど一所懸命にやった上で、思い通りにならなかったことを受け入れようとして流す涙は、本当に綺麗だった。