面談を続けている面白いことが起こる。
ある女性が面談を続けるうちに、本来の自分を取り戻し、他者の思惑よりも自分が本当は何を感じているか、どうしたいのかしたくないのかを表出できるようになってきた。

面白いというのは、そうなったときの、まわりの人たちの反応である。

内省性がなく、以前の彼女の方が都合が良かった人は、その変化・成長に反発する。
「おかしくなった。」「生意気になった。」「言うことを聞かなくなった。」などなど。
中には怒り出す人もいる。

そして内省性があり、本当の意味で彼女を愛している人は、彼女の変化・成長を喜ぶ。
「表情が変わったね。」「生き生きして来た。」「良かったね、お母さん。」などなど。
中には泣き出す人もいた。

そして、家族や友人関係でも、本人の変化・成長について行ける人とついていけない人とに分かれて来る。

ついて行ける人は、彼女の変化を自分事として内省し、その人自身もまた変化・成長し始める。
ついて行けない人は、自分にこそ問題があることを内省できず、結局、彼女の変化・成長に置いて行かれることになる。

私がしていることは、クライアントをある特定の型に嵌(は)めていくことではなく、その人がその人になるように(本来のその人を取り戻せるように)(さくらはさくらに、すみれはすみれになるように)応援していくだけのことである。

願わくば、周囲の人も、その影響(=薫習(くんじゅう))を受けて、自分の花が本来何なのかに気づき、一緒に自分の花を咲かせて行ってほしいなぁ、と切に思う。
そういった連鎖反応もまた、人間的成長に関わる精神療法の醍醐味なのである。

 

 

お問合せはこちら

八雲総合研究所(東京都世田谷区)は
医療・福祉系国家資格者と一般市民を対象とした人間的成長のための精神療法の専門機関です。