今はどうか知らないが、昔は駅からがんセンターに向かう道すがら、怪しい新興宗教の案内やら、胡散臭い民間療法のポスターなどがいくつも貼ってあったという。
当事者や家族の不安な心理につけこんだ、阿漕(あこぎ)なやりくちである。
昔、面談を申し込んで来た男性で、ある難治疾患の民間療法を生業(なりわい)としている人がいた。
その民間療法には、科学的に治療効果を示せるエビデンスがなく、高額で、メンタルに問題があるクライアントの心理につけこんでいるのは明白であった。
弱い心理へのつけこみ、そしてぼったくり価格には、悪質ホストクラブ問題に近いものを感じた。
それがわかった途端、面談はお断りした。
そこに「情けなさの自覚」を感じないようでは、成長どころじゃないでしょ。
そういう生業を続けられていること自体に、その人の大きな問題が存在する。
どうしても当研究所に面談に来たいのであれば、まずその商売を廃業して、真っ当な仕事に就いてからいらっしゃい、と告げた。
そうでなければ、他のセラピスト/カウンセラーのところへどうぞ。
その後、連絡がないところをみると、どうなったことやら。
今となっては何を相談したかったのかわからないが、人間が精神的に成長するときには、後から付いた心理的な塵埃を掃うことがとても重要である。
まず生業的にも、塵埃を掃って身綺麗にしてからだね。
少なくとも他者から搾取を続けながら、自分だけ成長することは絶対にあり得ないのだ。