殿さまはちょっとバカな方がいいという。
トップに立つ人間が、余り細かいところにまで気がつくと、下がやりにくい。
細かいところに眼を光らせるのは、家老/番頭/重役格の人の役目であって、殿さま/店の主人/社長は、本当に大事なところだけを押さえておいて、他のことについてはちょっと抜けているくらいの方がいいのである。
その方が組織の中が窮屈でないし、むしろ下が「自分がしっかりしなきゃ。」と思って自律的に働くようになる。
私が知っている教授の面々でも、いわゆる名教授と言われる人はみんな愛すべきバカ(失礼)であった。
(念のためにフォローしておくと、研究においてはみんな優秀な方々です)
計算高く、如才なく、細かい教授ばかりでは息が詰まる。
しかし最近は番頭さんのまま店の主人になるような場合が増えているようで、働きにくいという話をよく聞く。
そこらも実は先人たちの智慧があり、昔は番頭さんが自分で店を構えて独立する(暖簾分けする)ときには、お世話になった店の主人から「主人というものの心構え」について諭されることがあったという。
おまえは今まで番頭として非常によくやってくれたけども、この度、店の主人になるにあたっては、ちょっとバカにならなきゃいけない。
そして番頭の役目は別の人にやってもらうんだよ。
そんな智慧の伝達が途絶えてしまった現代、ちょっとここに書いておこうと思った。
今日これを読んでいる方の中に、トップの立場の方がいらしたら、ちょっと知っておいて下さいな。
主人は主人の役を、番頭は番頭の役をちゃんと果たして行きましょうね。