時に講義の依頼を受けることがある。
ホームページにある通り、対象は学生が多いが、私としては毎回楽しみである。

それも昔っから楽しみだったわけではない。
気持ちが、聴講生ではなく、自分の方に向いていたときは、講義の目的が、自分が受ける評価の方に偏っていたため、余計な緊張や身構えがあったと思う。
それが、ある時から、「一生のうちで出逢える人の数は限られている。ならば、その限られた出逢いの中で、一歩でも半歩でも人間として成長するきっかけになってほしい。」と願いながら聴講生の方を向いて講義するようになってからは、不要な緊張や身構えもなくなったように思う。

そして、そういう気持ちで聴講生を観ていると、その一人ひとりの中に、伸び行こうとする生命(いのち)の力を感じるときがある。
そんなとき、聴講生の顔が、その生物学的年齢とは別に、皆、子どものような顔に見えて来る。
ああ、折角、生命(いのち)を授かって“自分”に生れて来たのだから、本来の“自分”を実現して生きて行ってほしいなぁ、と親心のように願う。

そのためかどうかわからないが、講義きっかけで、今も当研究所に面談に来られている方は多い。
私としては“営業”のために講義をやっているわけではないので、講義中に当研究所の“宣伝”をすることはないが、数少ない講義きっかけで、長く、深い付き合いに至ることもまた、天のお導きという他ない。

私のところでなくてもいい、誰のところでもいい、どこでもいい、やはり行き着くところは、たった一度の人生、自分以外を生きているヒマはない、ちゃんと自分を生きて死にましょうね、ということに尽きるのである。
講義は、そのメッセージを伝える小さな端緒となる。

 

 

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