日の延びた夕暮れどき。
所用で足を伸ばした先で、小さな商店街に「京たこやき」の看板が見えた。
傍に小さく「ソフトクリーム」「たいやき」とも。
店先に小さなベンチ。
アッパッパ(わかります?)を着た、小柄で痩せた80代と思しき女性が一人でそこに座って、立派なソフトクリームを食べている。
蒸し暑い今日は美味しかろう、と思いながら、脇を通り過ぎる。
それにしても、この時間帯に一人で…などと、ついその人の生活背景を思い浮かべてしまうのは職業病かもしれぬ。
所用が済んでの帰り道、またその店の前を通ると、さっきの女性がまだベンチに座っていた。
しかも今度は膝の上に8個入りのたこやきをのせ、あと1個で完食の様子。
余程、お腹が空いてたのかしらん、と思い、近づいて行くうちに最後の1個も食べ終えてしまった。
今この時間ということはきっと夕食代わり。
家で一人で食べるよりは、せめて商店街の中の方が孤独感は薄まるか…。
そして、女性の脇を通り過ぎようとしたとき、なんとその女性はさらにたい焼きを取り出して、食べ始めたのだ。
ただの大喰いぢゃーっ!このばっぱ!
勝手に想像を膨らませてはいけません。
目の前の事実に集中しましょう。
果たしてそのたい焼きが最後だったかどうかは私も知らない…。