時々、誰かから内緒話を打ち明けられることがある。
通常はそれを普通に聴けばいいだけの話だが、ときどき面倒臭い問題が起きて来る。
それは特にその内容を聴いて、これは自分だけの胸におさめておくのはまずいな、と思う内容のときである。
内緒話と言われてしまうと、こちらは話を聴かされた上に、自由にしゃべる権限を奪われることになるのだ。
そうなると実に面倒臭い。

よって、最初に相手が
「これ、内緒なんだけど…。」
と話し始めそうになったときに、こちらが黙っていると、暗黙の了解をしたことになってしまうため、
「わたし、すぐしゃべっちゃうけどいい?」
とか
「オレが誰かにしゃべるかどうかはオレの自由でいいよね?」
と言い返すことが有効である。
場合によっては、そのまま相手が黙ってしまうかもしれないが、それならそれで結構である。

さらに、相手が狡猾な場合は、勝手に内緒話を始めておいて、話し終わった後に
「これ、内緒ね。」
と言って、後から口止めして来る場合がある。
これも、このまま黙っていたのでは、自由にしゃべる権限を奪われることになる。
よって間髪入れず、
「残念でした。わたし、すぐにしゃべっちゃうわ。」
とか
「話す前に約束しなかったのは君の失敗だね。オレ、しゃべっちゃうかも。」
と言って、相手の規制を外しておくのが良い。
こういう巻き込みをして来る相手とあなたがこれからも付き合って行って、人生の糧になるとは思えない。

ちなみに、内緒話を聞いた人が、これまた第三の人に「これ、内緒なんだけど…。」とまた内緒で話を広げて行く場合がある。
あるあるではあるが、それでもやっぱり程度が低いにもほどがある話である。

人間の健全なコミュニケーションにおいては、可能な限り、「露堂々」としたものが理想である。
内緒話は、可能な限り、排除する。

しかしながら、場合によっては、その内緒話を聞いたあなたの判断において、その後何が起きても(刑務所に行くことになろうが地獄に落ちることになろうが)全責任を取る覚悟で、一人で棺桶まで持って行かざるを得ない場合もある。
私のような仕事をしていると、
一方で、神経症的かつ操作的な巻き込みとしての内緒話を聴かされることもあるが(そういうのは申し訳ないが徹底的にブッ飛ばす)、
他方で、その人が本来のその人を生きて行くために、私が全部受け取りましょう、という内緒話もある。
そういう場合、正確に言うと、それを受け取るのは私じゃないのである。私を通して広大無辺なものに受け取っていただくのだ。そうしてあなたは悲しみや苦しみから解放されて、あなたならではの人生をのびのびと歩んで行けばいいのである。

そういう内緒話は、いつか、するべき相手に(相手を間違わず)、必ず、しなければならない、と思う。

 

 

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