我ら凡夫の中にも、仏性(ぶっしょう)という尊い働きがあることは、本当に有り難いことである。
凡夫を覆う煩悩は、全くどうしようもないけれど、その仏性の働きによって、我々には救われる道が開けている。
それを端的に表した仏像として、以前、勉強会の中でも「宝誌和尚立像」をご紹介した。
宝誌和尚の顔面が割れて、十一面観音菩薩が顔を出している仏像である。
これまた視覚的にわかりやすく表して下さることが、凡夫にとっては有り難い。
西往寺から京都国立博物館に寄託されているので(但し、展示されている期間をご確認のこと)、ご関心のある方は是非、実物をご覧になると良い。
あなたの中にも仏性はある。
で、今回は、もうひとつの仏像をご紹介したくて、この欄を設けた。
それが、釈尊の弟子であり、実の息子でもある「羅怙羅(らごら)尊者像」である。
羅怙羅尊者が自らの胸を開くと、そこに釈尊の顔が出現している。
これを親子の情でベッタベタに解釈している文章もあったが、それでは地獄に落ちる。
釈尊の本体は久遠仏であり、仏性の働きそのものである。
禅の黄檗宗の大本山、京都・萬福寺で拝観できる。
あなたの中にも仏性はある。
別に、グロテスクで奇っ怪な仏像を選んでお勧めしているわけではない。
その造形を手掛かりに、造形で表せない仏性の働きそのものを感じ取っていただきたいと思う。