夕方、隣駅まで行く用事ができた。
たまには散歩を楽しむか、と歩き始める。
かつて観たテレビ番組で、新幹線では流れるだけの車窓の風景が、各駅停車に乗るとじっくり楽しめる、と言っていたのを思い出した。
各駅停車どころではない、徒歩でこそ楽しめる風景がある。
そして自分の歩く速度がいつの間にか速くなっていたことに気がつく。
東京の人は歩くのが速いんですよ。
だからといって、実は大したことはしてないんですけどね。

そして敢えてとぼとぼと歩いてみた。
そうしてみてわかったのは、敢えてとぼとぼではない、これが本来の歩く速さだったんだな、と。
ゆっくりと流れる道路脇の風景。
東京はソメイヨシノが満開から散り始めである。
花びらの舞う速度が歩く速さにちょうどいい。
雲の流れる速さも。
公園で遊ぶ幼な子たちの声や笑顔もしっかりと入ってくる。
足の裏で一歩一歩大地を感じ取れる。
忘れていたちょうどの速さで歩くと、感じる世界が一気に広がり、そして、深まった。

あなたにもお勧めします。
とぼとぼと歩いてみましょう。
やがてそれがとぼとぼでないことに気づきます。

 

 

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