酷い上司、先輩、同僚、部下、あるいは、酷い家族に囲まれて、苦しい環境で生きている人たちがいる。
そうなると人間は弱いもので、
「こういうときはこうやっときゃいいんだよ。」
「そういうときはそう言っときゃいいんだよ。」
「テキトーにヨイショしといて、裏で舌を出しときゃいいのさ。」
などと、いわゆる世俗的な処世術を教えられると、ついそっちに走りたくもなる。
そういうことを、頼んでもいないのに言って来る人たちは、自分自身が使っているちょろまかし方を教えて来るのであり、(自分だけが負け犬のすれっからしになりたくないので、)一緒に泥沼に沈んでいく道連れを増やそうとしているとも言える。
しかしながら、そこで踏みとどまって、自分だけは易(やす)きに流れずに、ど真ん中を歩いて行くことは、実にしんどい。
しんどいけれど、それでもやっぱり私としては、その道をお勧めしたい。
私もそこそこ長く生きているので、濁世(じょくせ)の大変さを知らないわけでもないし、そんなに簡単にど真ん中を歩いて行けないこともよく知っている。
私自身も、アンポンタンでポンコツの立派な凡夫である。
しかし、それでも最初から諦めていてはダメだと申し上げたい。
現実には、ひーひー言いながら踏ん張って踏ん張って踏ん張って、実際に達成できるのは目標の6割くらいかもしれない。だからこそ最初は100を目指すのである。最初から60じゃあ、現実にはその6割、36くらいになってしまう。
そうやって、無能、無力、非力の凡夫の自力を尽くしながら、自分を超えた他力を祈ってやっていくしかないのである、ひーひー言いながら。
そうするとね、1年や2年では変わらないけどさ、何年も何年もそうやっているうちに、
「ああ、やっぱり、魂を売らないで、ど真ん中を歩いて来て良かったな。」
「昔の私に、それでいい、と言ってやりたい。」
「こんなに自分が自分でいてのびのびできる時間が来るとは思わなかった。」
と心底思える日が来るのである。
これらはあなた方の先輩たちの言葉である。
だから、それでもど真ん中を歩いて行きましょうよ。
少なくとも、歩いて行こうとしましょうよ、ひーひー言いながら。
その甲斐はきっとありますよ。