「所詮世の中そんなものさ。」
と嘯(うそぶ)く人がいる。
“世の中”のことをどれだけわかった人が言っているのかと思ったら、結構若い人だったりする。
また、ある程度年輩の人でも、その人の人生経験は、どこまで行ってもその人だけのもので、また、一生のうち、頑張ってたくさんの人に出逢ったとしても、100万人も行かないのではないか。
残念ながら、世界人口は八十億人以上なのですよ。
しかも、よく聴いてみると、そういう“思い込み”は、その人の人生の早いうちに形成されている場合が多い。
若いうちの“世界”=“世の中”というものは、家庭の中か、学校の中か、地域の中か、まだ勤務年数の少ない職場くらいのもので、そこで体験したことが、その人の世界観、人生観、人間観に色濃く影響を与えている。
そしてそれがもし否定的なものであったならば、その体験が“汎化”されて、「所詮世の中は…」ということになるのである。
そしてその後、身の回りやニュース上でさまざまな出来事に接したとき、その中から自分の世界観に合致したものだけを(無意識に)抽出して、「ほら、やっぱり、所詮世の中は…」と自らの思い込みを強化して行くのだ。
よって、まず気づきましょ、自分の“思い込み”に。
ひょっとしたら、そうじゃないんじゃないかと。
大疑ありて大悟あり。
大切な成長はいつも、今の自分を疑うことから始まります。
世の中は“そんなもの”ではありません。