子どもたちや若者たちの今と未来を潰してしまう「ヤングケアラー」問題については、いろいろな場面で取り上げられて来た。
子どもたちや若者たちが、その時間とエネルギーを奪い取られずに済み、自分の人生を大切に切り拓いて行けるように、そしてケアの必要な人に適切なケアが届くように、状況に即した丁寧な対策が必要なことは言うまでもない。
そんなケアについて考えていると、子どもたちや若者たちばかりではなく、高齢者は高齢者でよくぶつかる問題がある。
それは、デイサービスに行くのをイヤがる、ヘルパーが自宅に来るのをイヤがる、ショートステイをイヤがる、施設入所をイヤがるなどといった、ケアを忌避する問題である。
これを「オールドケアされらー」問題と私は呼んでいる。
確かに、これらを最初から喜んで受け入れる人は多くないかもしれない。
それは主に、ケアされ慣れてないことによるが、特に若い頃から他人の世話をして来た人(その代表が対人援助職者である)が高齢になると、自分がケアされることに抵抗する方が多い。
しかし上手に利用すれば、現実に本人も助かるし、家族も助かる。
(付け加えるならば、たまに元対人援助職者で自分が援助されることに上手な方がいる。そういう方はきっと良い支援をして来た人なのだろうと思う。支援され上手は、支援し上手である)
…と、ここまでは時々話して来たテーマであるが、ケアに関してもうひとつ、よく生じる問題があることに気がついた。
それは(年齢によらず)「ケアさせらー」問題である。
自分ができることをやらずに他人にさせようとする、という問題だ。
これは性質(たち)が悪い。
依存的であり、自己中心的であり、搾取的ですらある。
また、相手を見て巻き込んで来るので、相手の主観的満足に反することをしようとすると罪悪感を抱くようなタイプ(裏を返せば、他人の主観的満足を自分の存在価値として来たようなタイプ)の人は格好の餌食(えじき)となる。
巻き込もうとして来たときに、即座に、きっぱりと
「イヤなこった!」「自分でやれ!」
と言いましょう。
きっと当座は、ブーたれる、逆恨みする、怒るでしょうが、毅然と繰り返しているうちにやがて諦めて、巻き込んで来なくなる。
真っ当な人間は、自分ができることは自分でやり、できないことは上手にケアしてもらうのであります。