英語で「お先にどうぞ。」というのを“After you.”というそうだ。
わたしはあなたの後から行きます、という調子で、自我を主張しがちな英語文化圏としては、相手を先にし、自分を後にする美しい表現だと思う。
例えば、街を歩いていても、向こうから歩いて来た人とぶつかりそうになったとき、
また、車を運転する人なら、対向車とのやりとり、
さらに、電車やバスでの席の取り合い・譲り合いなどでも、
我の主張の有無がすぐに観て取れる。
但し、間違わないでいただきたいのは、そういうときにはこうすべきである、我の主張を抑えるべきである、というような超自我(見張り番)的な話をしているのではない。
超自我に頭を抑えられて、意図的努力でそうするのであれば、それは「偽善者」である。
そうではなくて、我々を通して働く力に導かれて、思わず知らず「お先にどうぞ。」“After you.”と出る境地を授かりたいのである。
そう思ってみると、“After you.”の“you”は、実は、目の前にいる「あなた」のことではなくて、“God”=神さまのことではないか、と今気がついた。
「あなたに導かれて、あなたの後に従っていきます。」
そんな気持ちで“After you.”「お先にどうぞ。」が出て来たら、わたしは合掌したくなるだろう。
そこには“you”への感謝しかない。