昨日に続いて、今日は「書類」についての話。

精神科分野で医師が記載する書類としては、①自立支援医療の診断書と②精神障害者保健福祉手帳の診断書、それから③障害年金の診断書を書く機会が多い。
そこに児童が入ると、④特別児童扶養手当が加わることになる。

これもまた前医が書いたコピーなどを見ると、これでホントに通ったのか!?と思うくらいスッカスカの内容の書類に出会うことがある。
実際、制度利用のためなのだから最低限を書いて通れば良いだろう、その方が効率が良いというものだ、とうそぶく医師もいた。

しかし、私はそうは思わない。
例えば、2年に1度更新して提出する書類であれば、その書類は、通れば良いというだけのものではなく、その人が2年間生きて来た証しを記(しる)すという面があるのだ。
その証しを少しでも書いておきたい、という思いが私にはある。

これまた、とても業務が忙しかったり、担当する患者さんの数が多く、書類を書くのもいっぱいいっぱいということもあるだろう。
かく言う私も、いつもそんなに立派な書類を書いて来たわけではない(実際、書けていないだろう)。
しかし、唯一心がけているのは、
1行でもいい、なんなら1語でもいいから何かキラッと光るもの、その人(患者さん)の存在が伝わるものがある書類を書いておこうとすることである。

先日、ある精神科医と話していたら、私と同じ気持ちで書類を書いている人であった。
そのやり方だと書類作成が遅くなるので、よく事務方に怒られますけどね、と笑っていた。
同志というのはいるものだ。
なんだか嬉しくなった。

よって、このことは精神科医の後輩たちにお勧めしておきたいと思う。

これは単なる書類書きではなく、主治医としての“姿勢”の問題なのである。

 

 

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