段々寒さが増して来るこの季節であるが、空だけは澄んで美しく見える。
そんな空も眺めていれば、感じることがあるもので、
天上は雲ひとつない快晴のように見えて、地平線に近づくにつれ、青がほのかになる。
それが夕焼けでもわかる。
西の空が茜色に染まる日暮れどき、この季節の夕暮れは、夏などに比べ、茜色がほのかになる。
そんなことにお気づきか。
そのほのかさにこちらのこころのほのかさが反応して感じるものがある。
それを感じるのが、この繊細にして敏感な風土で長年暮らして来た人間の感性の伝統である。
「ほのか」を漢字で書くと、「仄」「側」「彿」「髣」「髴」などたくさんあり、「洸」も悪くないが、やっぱり「さんずい」よりも「りっしんべん」の「恍」が良い。
ほのかなるこころの光。
自然への感性と人間への感性とが別物であるはずがない。
ここを踏まえて初めて、あなたの目の前にいる人のこころの中にほのかに光るものも感じ取れるようになるのである。