美味しい玄米御飯を食べさせる店がある。
店まで1時間近くかかるが、それでもこの店の玄米は滋味に溢れ、つい食べたくなって出かけてしまう。
おじさん二人でやっている店なのだが、メニューはなかなかにお洒落でヘルシー、女性客から男性客、カップルに家族連れと、なかなかの繁盛だ。

かし、私がこの店に行くにはもうひとつの楽しみがある。
御飯を食べている最中、ある時刻になると、入口のガラス戸に何やら大きな影が映る。
見れば、大型犬。
スタンダードプードルとゴールデンレトリバーのミックスのダイちゃんだ。
この店が散歩のコースに入っているそ
うで、大体決まった時間に現れる。
そして、店の中に向かって大アピールが始まる。
大きな尻尾を盛んに振り、おじさんが出て来てくれようものなら、さらにちぎれんばかりに振って喜んでいる。

なんてわかりやすいんだろう。
この本音いっぱいのダイちゃんに会うのが楽しみである。

そして私は思う。
人間にもこの尻尾をつけてみたらどうなるだろうか。

嬉しいくせに嬉しくないフリをする。
嬉しくないくせに嬉しいフリをする。
Aと思っているのにBと言う。
そんな面倒臭いことをするのは人間くらいである。
尻尾をつけたら。その人の本音がすごくわかりやすくなるだろう。

「僕と付き合ってくれませんか?」
「この私の手料理、美味しい?」
「あなた、お金好き?」

「わたしのことを本当に愛していますか?」

尻尾に全部出るだろう。

 

 

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