奈良・東大寺の法華堂(三月堂)。
ここにはたくさんの仏像があるが、例えば、日光菩薩と月光(がっこう)菩薩(日光仏、月光仏ともいう)。
比べれば、やっぱり月光菩薩が良い。
霊性が違うんだよね。
(現在は東大寺ミュージアム所蔵。この二像を梵天、帝釈天とみる向きもあるが、造形の話ではなく、霊性の点からすれば、月光菩薩の霊性が高く、また我々の霊性にもしっくり来る)
かつて日本郵便から国宝シリーズの15円切手として発行されたのも、両者のうち月光菩薩だけであった。わかってるね、日本郵便。
雲ひとつない空に太陽がカーッと輝(かがや)いている、でも良いのだけれど、なんか違うんだよね。そうじゃないんだよね。
インド生まれの大日如来も良いけれど、
弥生生まれの(渡来系の影響を受けた)天照大御神も良いけれど、
やっぱり、遍く光り照らす力強き太陽、じゃあないんだよね。
(直接でなく)月に反射した光とか、
雲間から漏れ射すような一筋の光とか、
寒い冬のほんのりあったかい光とか、
そんなのが我々の霊性にはしっくり来る。
先の月光菩薩にもそんな佇(たたず)まいがある。
冬の陽を浴びながら、そんなことを思っていました。
体験に属することを文章で書くのは難しいけれど、もしご関心と機会がありましたら、東大寺ミュージアムで日光菩薩と月光菩薩を観比べてみて下さい。