ある高名な経営者が「当座買い」ということを推奨されていた。
余計な在庫を持たず、必要なときに必要なだけ買えばいい、という考え方である。
主婦(主夫)の“お買い物”感覚では、確かに「まとめ買い」の方が“お得”なことが多く、市民生活においては。それで結構なのであるが、
会社経営においては、手元に1円でも多くの現金を残すことが何よりも重要とされる。
キャッシュがショートしたときに会社は倒産するからである。
よって、“お得”でも出費の多い「まとめ買い」よりも、“割高”でも出費の少ない=手元に残る現金が多い「当座買い」の方が推奨されるのである。
なるほどと“理性的に”合点がいった。

さらに、在庫が少ない方が物を大切に使うということも「当座買い」の利点として挙げられている。
これは“理性的に”ではなく、“感覚的に”、そうだよな、とわかる。
まだたくさんあるからいいや、と思うと、扱いがぞんざいになり、丁寧に使い切らずに捨ててしまったりする。
みなさんも思い当たる節があるだろう。

そんなことを考えながら、新しく購入した来年の手帳に予定と引き継ぎ事項を記入していたら、ふと気がついた。
この作業をあと何年やれるのだろうか。
この年になると“実感”を持って感じられる。
あと1年、あと1か月、あと1週間、あと1日、あと1時間、あと1分、あと1秒、生きている保証はどこにもない、だから与えられた時間は大切に、ということは“理性的に”は若い頃からわかっていたが、“実感”がなかった。
今は“実感”がある。
残りが少ない方が大切に扱うのだ、ここでも。
本当に「わかる」とは、こういうことをいうのだと思う。

 

 

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