ある小学校1年生の男の子が絵を描きました。家庭に問題があり、困った行動を重ねる子でした。ひとつは首がちょん切られてる絵。次に骸骨の絵。これ、殺すでしょ。やってやるんだというときにね、敵意があるんです。こうしてやるんだ。こうしてこんなふうにしてやるんだと、これね。これが出て来たら、つまりこのの場合は、ひどい敵意があるんですね。これがわかる。子どもだから敵意がないなんて思ったら大間違いなんですよ。その敵意こそ重要なことなんです。…
フロイドという有名な、これは精神分析の、まあ、最初に作った人ですが、その人が最も悲観的な考え方を持ってるんですが、人間っていうものは敵意の動物ではないか。そして最後に皆殺しにしてお互いに死ぬんじゃないかっていうような、そういうことまで考えたぐらい、敵意っていうのは人間の深いところにあるんです。」(近藤章久講演『子どもの自殺と非行に走る心理』より)

 

子どもは小さくて弱い存在です。
ですから、親や大人たちから理不尽なことをされ、本当は親や大人たちに対して敵意や怒りを持っていても、それを出すことができません。
特に親は、それがどんな親であっても、愛着の対象でもありますし、愛されたい。
となれば、余計に敵意や怒りを出すことが、いや、感じることさえ、できなくなってしまうかもしれません。
しかし、たとえ抑圧したとしても、子どもは敵意や怒りを持っています、確実に、こころの奥底に。
それが身体化症状になったり、さまざまな不適切行動や非行になったりします。
また、子どもが大きくなったときに、その敵意や怒りが、
あるときは、復讐の形で当の親に向けられ、
またあるときは、親に代わる対象にぶつけられたりすることもあります。
そうなんです。子どもたちは怒っています。
そのことを親は、大人たちは、知っておかなければなりません。
で、どうするか。
親や大人たちが子どもへの言動を気をつければ良いのか?
違います。そんな意図的・表面的配慮は要りません。
答えは決まっています。

子どもを愛して下さい、こころから。
それしかありません。

 

 

[次回の『金言を拾う その40』につづく]

 

 

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