昨日もお話したように、小さくて弱い子どもは、ある意味、他者評価の奴隷にならざるを得ない。
よってもしその子の傍に健全な親や大人がいたならば、本人が本来の自分であるところを褒めて、認めて行っていただきたい。
そうされることによって子どもは、本来の自分を実現する道を歩んで行くことができる。

しかし、それはあくまで本人が子どもであるときのお話。
いつまでもそうではない。

子どもが二十歳(最近は十八歳)を過ぎたら、今度は本人のことは本人の問題になってくる。
親や大人たちは、一度は自分の子育てや関わりを徹底的に反省した方が良いが、いつまでもずっと反省し続ける必要はない。
私(たち)のせいでこの子がこうなった、というのは、子どもが未成年のうちなら良いが、成年後もそう思い続けることは、この子の一生はもう生育期に決まってしまって、この子には最早、本当の自分を実現して行く力がない、と言っていることになるからだ。
そんなことはない。
すべての人間に本来の自分を実現する力が与えられている。
成年後は、本来の自分を実現するという人生の大目標は本人の手に委ねられるのである。
本人から求められて、本人が本来の自分を実現していくのを手伝う・援助するのなら良いが、そうでないならば、余計なことはしない・言わない方が良い。
中には、「罪滅ぼし」といって何かとやりたがる・言いたがる親や大人たちもいるが、子どもにしてみれば、却って迷惑ということになる。

やっぱりここでも親や大人は、本来の自分を実現して行くという道程における先達であっていただきたいと思う。
だから、本当に子どものことを思うならば、子どものことより自分の成長が先。
これはまた、本当に患者さん/利用者さん/メンバーさんのことを思うならば、患者さん/利用者さん/メンバーさんよりも自分の成長が先、という対人援助職者にも当てはまる鉄則なのである。

 

 

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