都内世田谷区、東急大井町線「九品仏(くほんぶつ)駅」下車、徒歩5分のところに、「九品山 常在念佛院 浄眞寺(じょうしんじ)」というお寺がある。
浄土宗のお寺で、ここには元々近藤家のお墓があり、故近藤先生の遺骨は、このお寺と、後に縁のあった浄土真宗の東本願寺(浅草にある東本願寺、浄土真宗東本願寺派本山)と牛久アケイデイア(牛久大仏があるところ)の3カ所に分骨されている。
この浄眞寺には、九体の阿弥陀仏像があることで知られ、それは「往生者の機根の高低、信仰の浅深によって往生の仕方に九種ある」という観無量寿経の考えに基づいている。
つまり、我々は
上品上生(じょうぼんじょうしょう):上の上の人
上品中生(じょうぼんちゅうしょう):上の中の人
中品下生(じょうぼんげしょう) :上の下の人
中品上生(ちゅうぼんじょうしょう):中の上の人
中品中生(ちゅうぼんちゅうしょう):中の中の人
中品下生(ちゅうぼんげしょう) :中の下の人
下品上生(げぼんじょうしょう) :下の上の人
下品中生(げぼんちゅうしょう) :下の中の人
下品下生(げぼんげしょう) :下の下の人
の九種に分けられ、それぞれがちゃんと漏れなく成仏できるように、なんと九体の阿弥陀仏像が用意されているのである。
なんとも行き届いた救いであり、大変に有り難い。
参拝者は自分がこの九種のどこにあてはまるかを考え、その阿弥陀仏像にお参りするのである。
で、あなただったら、どの阿弥陀仏にお参りします?
「ちょっと控えめに中品下生かなぁ。」
「もっと遠慮して下品上生か。」
きっといろいろ選ばれるであろう。
それでお参りされれば良い。
そして、ここからは私の個人的意見である。
こちら(参拝者)側から見れば,九種に分かれて九体の阿弥陀仏であるが、
阿弥陀さんの側から参拝者を見れば、全員が凡夫、残念ながら、全員下の下、下品下生に決まっているのである。
九体に分けたのは、阿弥陀さんの親切心であり、結局は九体全部が同じところ、下品下生の阿弥陀仏に繋がっているのだ。
親切心と言ったが、実は、そのこと(結局は全員下品下生である)に気づいてもらいたくて、敢えてまず九体に分けてから、我々を教導して下さっていると、私には思えてならない。
親切心と言うよりは遊び心に近いかもしれない。
では、私も浄眞寺の九品仏にお参りすることに致しましょう。
まっすぐに下品下生の阿弥陀仏に。
◆追伸 現在、九品仏は「九品佛大修繕事業」中とのことで、九体の阿弥陀仏全部が拝観ができるかどうかについては浄眞寺までお問合せ下さい。