「こうやって、皆さん、幸福でいらっしゃると思うんですけれども、それでも案外、一人ひとりの中に入っていくとですね、人には言われないような問題がおありになるだろうと思います。というのは、甚だ僭越な言い方ですけれども、どうしても人間てのは、そういう具合に、完全な幸福とか、完全な自信を持ってらしても…どこかに弱みがあったりね、そういうものが、弱いものが人間だと私は思います。つくづく、この何十年間、まあ、年の功ですけども、それで生きて来てつくづく思うことは、人間とはまことに弱い動物である…と思いますね。
で、それだけに、しかしまた人間には、弱いだけに、その弱さというものを自覚する力があるわけですね。その弱いことを自覚する力というものがあるためにですね、人間がその弱さを次第に自分でコントロールして、そして伸びて行くと思うんですね。…
で、その意味で、そのために、私が今、いろんなことを申し上げるわけですが、例として、あるいは、お聞き苦しいことがあるかもしれない。それはひとつ真実のために、ご容赦願いたいと思うんです。世の中は決して綺麗事ばかりでなくて、現実の人生ってものは、生きてるには、そこに生々しい、あるいは、目を背けたくなるようなこともあります。しかし、私たちがものを本当に考え、ものを本当に解決するためには、その真実に耐えなくてはならない。そういうことがございます。…
真実を観る眼、こういうものが私たちにどうしても必要なんですね。ですから、その意味で、私が申し上げる中に、あるいは、お聞き苦しい点があるかも存じませんけれども、どうか、そのために、あれは真実のために言っているんだと、そういうことをご了解になっていただきたいと思います。」(近藤章久講演『子どもの自殺と非行に走る心理』より)

 

まず、弱いのが人間だということ。
皆さんはご自分の弱さに気づいておられますか?
弱さだけではない、自分のずるさ、卑怯さ、ひどさにどこまで気づいていますか?
どこまで認めることができますか?
そして、我々が人間として成長するためには、そんな綺麗事ではない、目を背けたくなるような真実と向き合わなければならない、ということ。
それを近藤先生は「真実に耐えなくてはならない」とおっしゃいました。
そして「真実を観る眼」が必要だ、とおっしゃいました。
すべてはそこからです。
「情けなさの自覚」からすべては始まります。
心配要りません。
情けないのはあなただけではありません。
すべての人間が情けない存在なんですから、そしてそのどん底から本当の成長の道が始まります。

 

 

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