児童専門外来をやっていた頃、母子手帳を拝見する機会が多かった。
それは医学的に生育経過を辿るためであったが、期せずして母親としての愛情溢れる文面に接して、胸が熱くなることが何度もあった。
そして、その後もお母さん方の気持ちに触れる度に思うのが、母子手帳は就学までのものではなく、子どもがもっと大きくなるまであっても良いんじゃないかということである。
で、何を書くのかって?
子どもに対して
怒り過ぎちゃたとき
間違ったことを言っちゃったりやっちゃったりしたとき
ひどいことをやらかしちまったとき
その後の気持ちを自分だけの胸に留めておかず、また、いつの間にか忘れてしまうことなく
ちゃんと書いておきましょうね、ということである。
その反省の中には、ただの反省だけでなく、子どもたちへの“愛”がある。
それを書いておいてほしいのだ。
そして、ただ書いたままにしておくのではなく
子どもが18歳/20歳になったとき
家を出て行くとき
社会人になったとき
結婚するとき
その書いたものを子どもに渡してほしいと思う。
それは、若い拙い親が、拙いなりに一所懸命に子どもを愛していた、ということの証しになるだろう。
そこに子どもにとっての意味がある。
(決して恩着せがましいこと/自己陶酔的なことを書かぬように。書くときは真心から書きましょう)
而(しこう)して、親が子どもに言いそびれていた大事なことを書いておく“そびれ帳”を推奨する次第である。
ちなみに、この“そびれ帳”は、親子だけでなく、夫婦でも、大切な人同士でも可能です。
そのときは、結婚〇周年や出逢って〇周年などの(1年や2年でなく)まとまった記念日にプレゼントするのがいいかもしれません。