松田家には代々気の強い女性が多く、そのせいか私の中でも、女性とはそういうものである、という先入観が作られていた。
相手が男だろうが何だろうが、怯(ひる)まず、たじろがず、尻込みせず、必要とあらば堂々と前に出て勝負をかける。
あの映画『極道の妻(おんな)たち』で岩下志麻姐さんを見たときも、まあ、こういう女性はいるだろうな、ぐらいに思っていた。
従って、「いやーん」「こわーい」「きゃーっ」などといって恐がっているような女性は見たことがなく、後年、実際にそういう女性がいる、しかもそういう女性が結構少なくないらしい、ということを知ったときは、大きな驚きであった。
それでも、中には「はちきん」(高知県(土佐)の女性)や「薩摩おごじょ」(鹿児島県の女性)と呼ばれるような、肚の据わった女性がいることを知ると、やっぱり、そうだよな、とちょっと安心したりもした(ひょっとしたら、黒潮(日本海流)沿いの南の地域の方が強い女性の出現率が高いのかもしれん)。
[参照]映画『鬼龍院花子の生涯』の「なめたらいかんぜよ!」、NHK大河ドラマ『篤姫』の「女の道は一本道。引き返すは恥にございます」など。
本来が、体内に生命を宿すことのできる女性の方が強いに決まっており、それができないコンプレックスを秘かに抱く男たちが虚勢を張って腕力・金力・権力に訴えているのだ、というホーナイの分析は、結構当たってるんじゃないか、と私は思っている。
そして願わくば、同じ「つよい」のでも、「我の強い女」ではなく、「自分が自分であることにおいて勁い女」であってほしいと心から願うのでありました。