皆さんは、「ニセ科学」というのを御存知だろうか?
「科学を装っているけれども、実は科学でないもの」
あるいは
「見かけは(科学に)よく似ていながら、内実は科学的でないもの」
を指し、「疑似科学」とか「トンデモ科学」とも呼ばれている。

最近では、新型コロナウイルス感染症について、ワクチンがどうの、マスクがどうのと、いろいろな「ニセ科学」が横行したことが記憶に新しい。

そしてもちろんこの「ニセ科学」に引っかからない=「真実」を掴むための対策としては、「ホンモノの科学」的検討が必要だ、ということで識者の意見は一致しているように見える。
(尚、「ニセ科学」について学びたい人には、この記事がよくまとまっていてわかりやすい)

今日私がお話したいのは、そこからの話で、その「真実」を掴むには「ホンモノの科学」しかないのかということである。
以前、小欄で『分析延々、直観一瞬』ということを書いた。
それがここでも当てはまるのではないか、ということが申し上げたいのである。

例えば、食べ物の〇〇が体に良い、という話がよくある。
食べ物の話は、ある意味、「ニセ科学」の宝庫であると言える。
〇〇は良い、□□が良い、という、ちょっと“怪しい”話は巷(ちまた)に溢れている。

私も昔、玄米菜食をやったことがあるが、その際、辟易したのが、「ニセ科学」で滔々と説明して来るその筋の人たちであった。
あるとき、有機栽培の蕎麦を使った手打ち蕎麦のイベントがあった。
参加した私はとても美味しい蕎麦を堪能し、非常に満足であったが、傍らで「ニセ科学」的効能を説く人たちには、新興宗教の説法を聞かされるようで、心底うんざりしていた。
すると、蕎麦を打ってくれたおじさんが(この人はただゲストで呼ばれた蕎麦打ちのおじさんである)
「難しいことはよくわかんないけど、この蕎麦、うまいよな。」
と言ったのが非常に明快であった。

その「ニセ科学」に対して「ホンモノの科学」のエヴィデンスを示して徹底的に論破しても良いのだけれど、
ただ、食べてうまいかどうか。
食べて体が喜んでいるかどうか。
それで決めれば良いじゃん、と私は思った。
いわば、「科学延々、直観一発」である。

もし体に悪いものを食べて 
美味しいと感じたり
体が喜んでいると感じたりしたら
その責任はあなたが取りなさいよ、というだけのことである。

または、
その話をしているその人自身が信頼できるかどうか
胡散(うさん)臭いかどうか
を直観で観抜いて決めるのもありかもしれない。

 

【例】コーヒーに利尿作用があると言われている。
暑い時期にコーヒーを飲むと却って利尿作用が進み脱水になりやすいから控えた方が良い、ということが言われる。
私は、例えば、通常1回150~200mlと言われる平均排尿量がコーヒー1杯を飲むことによって、どれくらい増えるのか、調べてみたくなった。
それが100ml増えるなら大変だが、10ml増しくらいなら大したことないじゃん、と思ったのである。
調べた結果見つけたのは、コーヒーを飲んだ前後での総体水分は、ただの水を飲んだ前後での総体水分と比べて差がない、ということが書かれた論文であった。

なんじゃ、そりゃ。
これもまた、関連論文を網羅して科学的に白黒つける「ホンモノの科学」的解決法もあるだろうが、どうも私には迂遠に思えてならない。
私としては、これからも自分の体に訊いてみて、飲むか飲まないかを決めてみようと思っている。
それでもし自分の鈍感さのせいで脱水になったのだったら、自業自得で結構である。

 

 

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