「医学的に見ても、皮膚接触がない人間はダメなんです。人間の皮膚は神経と同じ細胞で形成されているのです。だから、皮膚感覚のことを触れ合いとも言うでしょう。皮膚感覚というのは非常にコンタクトなもので、心の触れ合いです。人間には触れ合いという感覚が大切なのです。」(近藤章久対談『人間を育む心』)

この文章を読んでいて、学生の頃習った発生学を思い出しました。
確かに、体の一番表面にある皮膚と体の一番奥にある脳神経系は、受精卵が細胞分裂することにによってできた胚の中の、同じ外胚葉から発生したものです。
そうすると皮膚感覚が特別な深さを持つのは当たり前ですね。

皆さんは普段からハグやタッチをしていますか?
親子はもちろん、パートナー同士でも、恋人同士でも、皮膚接触はとても大切です。
文化的に日本では皮膚接触する習慣がとても少ないように思います。

せめてあなたにとって大切な人とは、日常的に触れることをお勧めします。
(反対に、余り触れなくなったら(触れたくなくなったら)、それは心の距離が遠くなったのかもしれません)

以前、ある人が Phyllis K. Davis の絵本『Please Touch Me』を紹介してくれました。
(邦題『わたしにふれてください』訳:三砂ちづる 絵:葉祥明 大和出版)
触れることの大切さがそのまま描いてある本です。
関心のある方は読んでみて下さい。

(面談室の本棚にありますから、ご希望の方にはお見せしましょう)

そしてもし今、いろいろな事情から触れることのできる相手のいない方には、
可能ならば、ペットを撫でることもお勧めです。
勘の良い方なら、お気づきでしょう。
ペットの頭を撫でているあなたの手の平は、ペットの頭に撫でてもらっているのです。
また、泳いだり、温泉に入ったりすることもお勧めです。
肌を水やお湯で撫でられることは、脳を、いや、心を撫でられることでもありますから。

我々の五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)の中では、触覚が一番深いところに届くものだと私は思っています。

 

 

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