「ひとり暮らしの人へ」と言っても、別に、結婚しろとか、同棲しろ、誰かと暮らせ、という話ではない。
同居によって、却って自分が自分でいにくくなるのであれば、ひとり暮らしの方が余程せいせいするというものである。
マイナスを逃れてゼロに至るためには、ひとり暮らしはとても良いものであると言える。
しかし、ひとり暮らしの短所としては、やはり「寂しさ」と「話し相手がいないために同じこと(悩み)が頭の中を何度もグルグル回ってしまうこと」であろうか。
中には、寂しさを紛らわせるために結婚や同棲を選ぶ人もいるが、その惨憺たる結果については、よく御存知の通りである。
結婚や同棲でなくても、趣味とか同好のことを通じて集うだけでも、寂しさはある程度、解消される。
また、ただ話すことで、ただ聞いてもらえることで、消えてなくなる悩みは確かに少なくない。
けれど、そのために同居までする必要はない。
そういうことを話せる相手を別に得れば良いというだけのことである。
私はゼロがプラスにならなければ同居の甲斐はない、と思っている。
一緒にいることで、私がより私でいられて、あなたがよりあなたでいられる。
そこに安心と愛と成長がある。
そういう場所を「ホーム」というのである。
そうであるならば、ふたり(以上)暮らしは、とてもお勧めである。
え? 幸か不幸か、もうふたり(以上)暮らしをしてるって? しかも諸々の問題があると。
それならば、あなたが出て行くか、あなた以外の人に出て行ってもらい、ひとり暮らしにする方法もあるが、
今のその場所が、私がより私でいられて、あなたがよりあなたでいられる場所になるように努力してみるのも現実的な選択肢である。
縁は異なもの味なもの、実はそのための出逢いだったのかもしれないから。
結局のところ、ひとり暮らしか、ふたり(以上)暮らしかという話ではなく、ずべての人が今回の人生でちゃんと自分を生き、自分に与えられた意味と役割を果たすか否か、という話になるのであった。