「虚栄心の中核は『自分を他人にどう見せるか』というところにある。」(近藤章久『虚栄心』より)

「こういう例(自己評価の低い人間になってしまう例)は枚挙に遑(いとま)がない程たくさんあるが、それらを通じていえることは、その根本の原因は何(いず)れも自分の価値を考える場合に、幼い頃の他人(親)の自分に対する評価によるということである。」
「大体『他人からどう見られるか』と、他人の考え方を忖度(そんたく)し始めると、今度は自分が『他人にどう見えるか』を気にしはじめることになる。そして次には自分の方から進んで『自分をどう見せるか』ということを考え始めるのです。」
「即ち虚栄心の中核は『自分を他人にどう見せるか』というところにある。いいかえれば『自分がどうであるか』ということが問題ではなくて『どう見せるか』が ー つまり見せかけ、外見を重要だと考える態度が虚栄心であるということが出来る。」

 

自己評価の低い人間の現われようには三つのタイプある。
ひとつは、いかにも自信なさげで、影が薄く、他者評価にビクビクしているタイプ。
これは自己評価の低いことがわかりやすい。
もうひとつは、虚栄心の強いタイプ。
これは自己評価の低いことがわかりにくい。
学歴も、ブランド物も、容色も、車も、豪邸も、すべて「自分を他人にどう見せるか」のためにある。
一見強気に見えるが、実は自己評価が低いからこそ、これでもかと他者評価獲得に打って出ているのである。
面倒くさいのが三つ目。
一見、謙虚で控え目なのだが、ところどころで虚栄心が漏れ出て来るタイプ。
例えば、ある年配の女性は、いつもは決して前には出ないのだが、突如職場に娘の派手な服を着て来たりする。
その“痛さ”にまわりは引くが、本人は全く気づいていない。
またいつもは職場で行き届いた気配りをしているのに、ふと同僚の前で
「私は別に働かなくてもいいのよね。」
などと言ったりして、これまた引かれるが、本人はやはり気づいていない。
漏れ出て来る虚栄心。
これは一つ目と二つ目がミックスしたタイプと言える。
これが意外と多い。

よって、自己評価の低い人間のうち、二つ目と三つ目が虚栄心の強いタイプとなる。
一つ目の人間は自分を高く見せようとはしない。ただ低く見られたくないということにはこだわる。

細かい話はここまで。

そんな「他人からどう見られるか」「他人にどう見えるか」「自分をどう見せるか」よりも「自分がどうであるか」を磨いて行きましょうよ、ね。
 

 

 

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