「私は、今、患者さん達を診ていましてね、本当に安心をしたい、本当に安らかな気持になりたい、本当の安定を得たいというのが人間の一番深い欲望だと思うんです。」(近藤章久座談会『欲望と人間』より)

続いて
「小さな自我ですとね。いつも孤独ですし、疎外されていますし、いつも不安です。本当の自我を支え、生かしている、大きな生命力といいますか、そういったものにふれませんと、この自我は生きた力強いものになりません。」
「いつも、すべての人が共に生かされているという、本当の意味における何か連帯感、感謝といったものが感じられると、そこでは非常に安息した、安定した、いわゆる安心(あんじん)の気持が出てくると思うのです。」
「本当の安定というのは…結局、自分が生かされている、本当に人間に生まれて、生かされていると知らされ、それによって生きていくという、この喜びといえるのではないでしょうかね。」

 

どんなに思い上がっても、どんなに肥大しても、この小さな自我では、本当の安心を、永遠に変わらぬ盤石の安心が得られないのです。
その小さな自我を支えると言いますか、すべての小さな自我に連なると言いますか、最早自我も超えて墻壁瓦礫(しょうへきがりゃく)にも草木国土にもこの宇宙にも連なると言いますか、そういったものを支える大きな生命力に連なる体験がないと、本当の大安心(だいあんじん)を得られないのです。
そしてその大きな生命力に連なりたいという欲望こそが、個人の我欲を超えた、生命(いのち)の大欲である(あなたの中にもあるのですよ)ということを知っておく必要があると思います。

そうして気がついてみれば、永遠の無始より、我々の小さな自我は大きな生命力に連なり、いや、生かされていたのだということを発見し、言いようのない歓喜と感謝に溢れることになるのであります。

こうしてお話しますと、何か壮大な話のようですが、その体験の“芽”は、小さな“芽”は、実は我々の日常の中にたくさんあるのです。
あなたもどこかで感じているはずですよ、きっと。

その一つひとつについてはまた面談でお話しましょう。


 

 

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