ある精神保健福祉士志望の女子学生がいた。
就活時期になっても、自己評価が低くて、自分がなくて、他者の評価が気になって、どうしようどうしようといつもフラフラフラフラしていた、
その後、
なんとかある精神科病院に就職したが、毎日が不安で不安でしょうがない。
そんな彼女であったが、偉いのは、そういう自分を誤魔化さず、逃げず、面談を申し込んで来たことである。

就職から逃げる手もあった。
病院から逃げる手もあった。
そして自分の問題から逃げる手もあった。
しかし彼女は逃げなかった。
ドキドキしながらも、情けなさの自覚と成長への意欲を持って、自分自身との勝負に出た。
そこは十分に褒めて良いと思う。

そして5年。
いやいやいや、なんとか一人前の精神保健福祉士ができました。
もちろん、この世界、成長は無限だが、こんなに自分に着地して落ち着いた自分になることは彼女自身も想像していなかっただろう。
おお、勁(つよ)くものを言うこともできるじゃないの。

5年かけて、妙に場数(ばかず)を踏んだだけで変な自信だけつけ、わかったようなことを言う、張子の虎を育てて来たわけではない。
自分の軸で考え、メンバーさんの方を向いて考え、他者評価に翻弄されない、自分が自分あることの幹を着実に太くして来た女性がそこにいた。
その5年間のこともまた十分に褒めて良いだろう。

しかし経験5年くらいでは、まだ一人前の一番下っ端くらいである。
ピヨピヨがピーピーになったくらい。
より骨太の一人前への道はまだまだ続く。

それでも、このように一人の人間が変化・成長して行く場面に立ち会えるということは、私自身にこの上ない喜びを与えてくれる。
その人が本当のその人になっていくプロセスに関わる仕事は、だからやめられないのだ。
あなたがあなたのミッションを果たせるようになることで
私もまた私のミッションを果たしていると言えるのである。

そして遥か青い空を見上げれば、彼女だけでなく、私だけでなく、なんだかこの世界も彼女の成長を喜んでいる気がするのである。

 

 

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