昨日、「新人の利点」について書いた。
今日は、非新人、即ち、経験者、中堅、ベテランの話。
既に新人の頃を過ぎてしまった人には、成長の可能性はないのか、ということ。

もちろんあるに決まっている。
但し、経験年数を積んでも、自分自身に、そして自分のまわりの環境や同僚のおかしさに疑問や違和感を持ち続けられた人に限る。

それだけ、擦れず、流されず、誤魔化さず、思い上がらず、最初の感覚を持ち続けるというのは難しいのだ。

「そういうもんか?」がいつの間にか「そういうもんだ」になり「そんなもんだ」になる。
「知りません、わかりません、できません」がいつの間にか「知ってます、わかってます、できます(できてます)」になる。
何年経っても、自分の根本的な“問題”は未解決のままであるにもかかわらず、である。

それでも、例えば対人援助職の世界に限って言えば、経験者、中堅、ベテランになっても、私のところに面談を申し込んで来られる方々は後を絶たない。
中には、その世界で既に指導的な立場を確立している方もおられる。
そのままおさまっていれば、大した問題もなく、いや、むしろ世俗的には権威者としてのうのうと過ごせるにもかかわらずである。

そこに経験のあるなしを超えた、人間としての矜持(きょうじ)を感じる。
本当の自分をちゃんと生きたい。
本当の仕事をちゃんとしたい。
それは人間として、健全かつ立派な姿勢である。
そしてそういう方たちは、新人に負けず劣らず成長して行かれるから素晴らしい。

八雲総合研究所の前身、松田精神療法事務所を開業してからもうすぐ25年になる。
面談に来られている方で二十代の方も珍しくないが、65歳以上の方も珍しくなくなった。
これまた、みんな私のところへ来い、というようなセコいは言わないから
どこでも良いから、誰の許でも良いから、あなたが信頼できる人のところで、自分自身と向き合ってみよう。
少なくとも、素直に成長しようとし続ける魂は、いつまでも少年少女のように初々しい、と言っておきたい。


 

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医療・福祉系国家資格者を対象とした人間的成長のための精神療法の専門機関です。