音や声を聴かせるだけで悟りの世界に導くことを音聲説法(おんじょうせっぽう)という。
理屈をグダグダと語らずとも良い。
ああ、善いなぁ、と思う。
音や声に感じるのである。
音や声を通して働いでいるものを感じるのである。

以前、真言声明(しょうみょう)と天台声明を同時に体験できる機会に恵まれたことがあった。
一人の一人の僧侶の姿を見ると、残念ながら、かなり生臭坊主のにおいプンプンの御坊たちも認められた。
それが声明が始まると、まるで違ったのである。
一人ひとりの僧侶が声を発しているのではないな、ということを直観した。
一人ひとりの僧侶を通して働いているものが声となっているのである。
そして音聲は発せられる度に刻々と瞬時に消えて行く。
あの霊的感動は忘れられない。

さらに言うならば、人の声ばかりが音聲説法ではない。
渓声広長舌もまたしかり。
川のせせらぎ、鳥の声、風の音、聴く耳で聴けば、
すべてがあなたを真実と救いの世界へと導く音聲説法に他ならなかった。

 

 

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