「母は子のいのちがのびやかにいきいきと育つことを願うでしょう。よく考えてみると自分自身に対してはどうですか? あなた方は、自分自身のいのちがいきいきと、のびのびと溌溂と成長していくことを願っていらっしゃいますか? 願っていますよね?
なのになぜうまくいかないのか。それはいのちを生かすほんとうの願望をとり違えて、別次元の願望を追求することが大事だと思っているところに問題があるのではないでしょうか。いのちは大事なものです。ただ、大事にする仕方が違う。子どもでも、大事にするといって、やたら猫かわいがりすることが大事にすることだと思っている人がいる。利己主義というのはいわば、自分を猫かわいがりするということなのです。自分をほんとうに愛するということは何か? それは、苦しみや悲しみやいろんなことがあっても、それをよろこびに変え、自分を常に人間として成長させるようにつとめるということ、そういうことです。それがたったひとつしかない自分のいのちに対する尊敬であり、愛です。
いのちをほんとうに尊び、成長させるということが大事だということを、まず銘記してください。
とにかく、自分のいのちを気持ちよく、清らかに生かしていくということ。溌溂と生かしていくことが大事なのではないでしょうか。
そして、自分のいのちがたったひとつしかない大事な存在だと思えば、相手のいのちもたったひとつしかないいのちです。その人にも一回しかそのいのちは与えられていない。そのいのちを育て、そのいのちを成長させていくことが、その人に対する愛ではないでしょうか。…
僕は、あなた方の一人ひとりのなかにある、あなたでなくては持てない、独自の、あなたのいのち、あなたに与えられたいのち、それこそ文字どおりほんとうに自分に一回しかないいのちの貴重性を感じ、そして尊ばなければならないと思います。そうして、それをほんとうにすこやかに、いきいきと、溌溂と、建前によるウソでなくて、ほんとうの意味での愛することのできるいのちとして育てていってもらいたいと思うのです。」(近藤章久『迷いのち晴れ』春秋社より)

 

是非とも、この近藤先生の言葉の字面の意味ではなく、近藤先生をして、この言葉を語らしめている、その働きを、その力を感じていただきたいと思います。
そうでないと、近藤章久と出逢ったことにはならないんです。
「ああ、そうなんだ。自分のいのちも相手のいのちも大切なんですね。」
では上っ面を撫でただけ。
そうではなく、なんだか知らないけれど、
胸が熱くなる、体温が上がる、背骨がゾクゾクずる、存在が揺さぶられる、そんな体験があって初めて、近藤章久と出逢ったことに、近藤章久を通して働く力に出逢ったことになるんです。

それが「身読」。
身体(からだ)で、存在で読むということ。
読んだ後、言葉の記憶なんて、何にもなくていいんです。
だけれども、なんとも言えない体験の記憶がこの体の中に残っている。
それこそがまさに、あなたのいのちを成長させいく元となるでしょう。

 

 

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