近頃の人は教養がない、とよく言われる。

確かに
漢字が読めない。
一般常識がない。
社会情勢も知らない。
そんな人たちには、以前よりもよく遭遇するようになった気がする。

しかし
だからどうだってんだ、という気もして来る。
どんなに博覧強記であっても
イヤなヤツ
くだらないヤツ
はごろごろいる。
所詮は、受け売りの知識ではないか。

それに私などは、職業上
重度心身障害の子どもたちや
認知症の大人たち
に接して来たため、彼ら彼女らを見下すような価値観には同意できない。

しかし、である。
上記のことを踏まえて、であるが
教養の中でも
古典(古文、漢文)を読む力だけは、それが可能な方たちには、お勧めしておきたい。
外国語も良いのだが、外国語をマスターするには大いに時間がかかる。
それに比べ、古文、漢文(書き下し文)は、古い言葉とは言え、どこまでいっても日本語である。
外国語ほど習得に時間がかからない。
それに
古文、漢文は、その内容が、東洋文化、日本文化のルーツに連なるため、親和性がある。
そして何よりも私は、日本の精神性は世界に冠たるものである、と思っている。
よって、古文、漢文が読めるとね、時空を超えて、過去の賢者たちと直接に話ができるのだよ。
(ちなみに現代語訳では、本来の語感やニュアンスが死んでしまうのでダメです)

でも、やっぱり、できれば、なんです。
字も読めない妙好人が、禅の老師が舌を巻くような境地を示したように、最後は知識ではなく体験なんです。
そしてさらに言えば、体験よりも存在がすべて、なのでありました。

 

 

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