すれ違いざまに、小声で「ばか」とか「死ね」「ブス」などの悪口を相手にぶつけることを“囁き通り魔”というらしい。
パブリックスペースで全く見知らぬ人から言われる場合と
自分の職場や学校で既知の人物から言われる場合とがあるようである。
いずれにしても“悪意”と“攻撃性”の垂れ流しであり、“通り魔”と言われる通り、すれ違いざまに殴られたのと同じ「心理的暴力」である。
基本的に全くの被害案件であるが、これはこちらにとってワークにすることができる。
それが今日言いたいこと。
即ち、即座に反応できるかどうか。
普段から感情的抑圧の強い人は、反応できない、または反応が遅れる。
ということは、やられっぱなしにならないために、“囁き通り魔”を感情解放の練習台に活用することができる、というわけだ。
こういった場合、よく「驚いてしまって」とか「呆気に取られて」何もできなかった、という人がいるが、それは事実ではない(言い訳である)。
例えば、あなたが突然誰かに足を踏まれたとする。
痛覚があれば、その瞬間、痛いに決まっている。痛くないことはあり得ない。
そして感情が出る。
「痛っ!」「何すんだっ!」となるのが普通である。
犬なら、瞬時に咬むかもしれない。
しかし黙る人がいる(それが結構多い)。
瞬時に自分の感情に抑圧をかけ、結果として感覚麻痺に陥っているのである。
しかし怒りは消えていないので、時間が経ってから次第に怒りを自覚するようになる。
そもそも生まれつき感情を抑圧するような幼児はいない。幼児はすぐに反応する。
しかしやがて反応しなくなる、反応が遅れるようになる。
それにはそれ相応の感情抑圧の歴史があるのである。
よって、抑圧が取れ、感情が解放されるにつれ、反応が早くなって来る。
最初、その日の夜、布団に入ってからようやくムカムカしていた人は、
その事件が起きてから数時間後にムカムカするようになるかもしれない。
またさらに相手が立ち去ってしばらくしてからムカムカするようになるかもしれない。
そしてやられた直後にムカムカするようになり、
最後に、言われた瞬間に反応が出るようになる。
「うるせっ!」「黙れっ!」
残念ながら、世の中には抑圧の強い人が、思いの外、多いので、実は通り魔側も瞬時に反撃されたことがない(それで調子に乗って繰り返している)。
よって、この瞬時の反撃ができたならば非常に有効であり、今度は通り魔が黙ることになる。
さらにダメ押しとしては、反撃をその一の矢でおしまいにせず、二の矢、三の矢を繰り出しておくと一層有効である。
「通りすがりに『バカ』と言うんじゃねぇ!」
「あったま、おかしいのか、おまえは!」
万が一相手が何かを言おうとしたならば、それに被せるように、これを大きな声で(まわりに聞こえるように)言うことはさらに効果的である(相手はそこまでやると思っていない)。
しかも感情が解放されて来ると、その表出に自然と“圧”(気迫)が加わって来る。
よく「そんな反撃をしたら、またさらに何をされるかわからない。」とビビる人がいる。
残念ながら、そう思った時点で既に勝負は負けなのである。
少々話が長くなったが、細かいことはどうでもよい。
要するに、こいつに“囁き通り魔”をやるとどんな即時反撃を喰らうかわからない、と思わせれば良いのである。
感情が解放されて来れば、それが準備なしに、身構えなしに、できるようになって来る(いつもシミュレーションして準備し、人がすれ違う度に身構えていたら大変である)。
“囁き通り魔”から始まった話であるが、結局は「抑圧からの解放」こそが、あなたを守り、生かすことにつながるのである。