「人間というものは大事なことはなかなかいわない。大事なことはいちばんおしまいにとっておくのですね。非常に長いことかかっていろいろ話して、時間が終わって『さよなら』といったあとでチョコッというのですね。それも、そのものズバリではなくて、はしっこの部分をね。そういうことが多い。」(近藤章久『迷いのち晴れ』春秋社より)

 

これは私が今の仕事をしていても実感することである。
その瞬間、「おいっ!」と思うが、時、既に遅し。スーッと去って行かれる。
考えてみれば、私自身が昔、近藤先生のところに通っていたときも、最初はそうだったかもしれない。

でも心配は要らない。
人間が成長すると、問題のはしっこではなく、全貌を話せるようになる、核心を話せるようになってくる。
しかも、面談の最後ではなく、面談の最中に、中には面談の冒頭で「今日はこれについて話します。」と宣言する方までいらっしゃる。
そうなってくること自体が、その人の確かな成長を示しており、問題と向き合えるということ、即ち、その問題が解決される準備が整っているということなのだ。

そう思うと、冒頭のような展開はむしろ、治療場面や、一般ピーポーとの会話場面で起こりやすいと言える。
八雲総合研究所での面談においては、既に「情けなさの自覚」と「成長への意欲」を持っておられるため、果敢にご自分の問題を取り上げて来られる。
改めてそれが稀有な、そして一所懸命な姿勢であることを、今日これを書いていてまた実感するのであります。


 

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八雲総合研究所(東京都世田谷区)は
医療・福祉系国家資格者と一般市民を対象とした人間的成長のための精神療法の専門機関です。
 

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