2017(平成29)年6月4日(日)『ワンマン・プラクティス』
近藤先生の奥様が、ニューヨーク時代の話を聞かせて下さった中に、
「有名な精神分析家でも、廊下からいきなり診察室に入るようなオフィスで、たった一人でされてるのには驚きましたわ。」
という話があった。
そう。
全ての精神分析家がそういうわけではないが、
一人開業=ワンマン・プラクティスは、精神分析家の伝統的なスタイルの一つなのである。
私が八雲で一人でやっているのを見て、時に驚く方がいらっしゃったが、それは上記のような伝統があるからである。
確かに、秘書さんを置こうかな、と思ったこともないではないが、どう考えても、やってもらう仕事がない。
ということでずっと一人でやっている。
そしてさらに、一人でやるだけでなく、待合室もなく一室で、ワンルームでやるというのも(八雲にも待合室があったし、全ての精神分析家がそういうわけではないが)、精神分析家の伝統的なワンマン・プラクティスのスタイルである。
それはきっと、契約意識が強く、時間にパンクチュアルな欧米人だからこそ成り立って来た伝統であろう。
みんなが時間ピッタリにやって来て、どんなに話が佳境に入ろうとも時間ピッタリに切り上げて帰られるから、待合室がいらないわけである。
昔は難しかったかもしれないが、今の日本でも、そのスタイルでやっておられるセラピスト(特にフロイト派の精神分析家)は意外に多くいらっしゃる。
いずれにせよ、古今東西を問わず、その一匹狼的な雰囲気は、サイコセラピストという仕事には合っているのではないかと私は思っている。