2016(平成28)年2月26日(金)『江戸っ子の弱点』
基本的に、気っ風(ぷ)の良い江戸っ子気質(かたぎ)は好きである。
表裏がなく、喜怒哀楽を隠さず、結論から言い、はっきりくっきりしていて面倒臭くない。
しかし、江戸っ子も良いところばかりとは限らない。
かつて「ラテンの馬鹿」について書いたのと同様に、江戸っ子には江戸っ子の弱点がある。
その最大のものが、深い内省性の欠如、特に幼少期に自分に埋め込まれた価値観に対する無反省性である。
例えば、気持ちの良い下町の鮨屋の大将がいたとする。
わかりやすくて、威勢が良く、竹を割ったような性格である。
根性の曲がった客が来ようものなら、「てめぇに喰わせる鮨はねぇ。とっとと帰(けぇ)りやがれ!」と追い返せる。
その大将が、ある時、親について不満を言っていたカウンター客同士の会話に割って入った。
「親の言うことは聞くもんだよ!」
これだ。
親への服従が絶対的善として自分に埋め込まれていることに気づかない(気づけない)のである。
よって、その上何かを言おうものなら、内省・検討することなく、「うるせー! 出てけ!」ということになり、変化・成長につながらない。
これを「江戸っ子の馬鹿」という。
江戸っ子の勢いに、内省できる感性が付けば、鬼に金棒なんだけどなぁ。
賢明なる江戸っ子こそが「頭領」や「姐さん」の称号に値する。