近所の公園で親子がキャッチボールをしていた。

小学校低学年の男の子がピッチャー役。
若いお父さんが座ってキャッチャー役だ。 
しかし子どものコントロールがなかなか定まらない。
その度にお父さんから厳しい叱咤激励が飛ぶ。
「どこ見て投げてんだ!」
「しっかり足を踏み込め!」
「何度ボールを取りに行かせるんだよ!」
案の定、やがて子どもは泣き出して、グローブを投げ捨て、反対方向に駆け出して行ってしまった。
それを怒りながら追いかけて行くお父さん。
これじゃあ、あの子は野球嫌いになるかもしれない、と思って眺めていた。

そして公園の反対側。
そこでも親子がキャッチボールをしていた。
小学校低学年の男の子の投げる球は、やはりコントロールが定まらない。
その度にお父さんはボールを追いかけて大忙し。
しかしそのお父さんは元のキャッチャーの位置に戻ると、息子の胸のど真ん中に優しくボールを投げ返す。
「さぁ、ピッチャ、来い!」
子どもが笑顔で投げ込む。
またお父さんは走り出す。
そしてまた男の子の胸のど真ん中に優しくボールを投げ返す。

どんな暴投が何度続いても、こちらは相手の胸元ど真ん中に受け取りやすいボールを投げ返す。
これってキャッチボールだけのことじゃないよね。
そこにひとつのメッセージがある。

この子が将来野球をやるかどうか別にしても、少なくともこうして愛された体験はずっとこの子を支えて行くだろう。
「ナイス・キャッチャ!」
それもまた私からのメッセージ。

 

 

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